「笑」「率」「歌」魅力あふれる三個の礼/礼真琴(日刊スポーツ)

星組の人気スター、礼真琴が主演ミュージカル「阿弖流為(あてるい)-ATERUI-」で外部劇場初主演を果たした。大和時代の日本を舞台に、故郷の蝦夷(えみし)を守る若き指導者役。既にシアター・ドラマシティでの大阪公演を終え、東京・日本青年館ホールで公演中だ(6日まで)。東京公演の主演も初めて。

 快活な話しぶり、明るい笑顔が周囲を照らす。

 「いや、もう! 最初は本当にやんちゃで、怖い者知らず(な役)。私もがむしゃらにはじけて暴れたい」

 大和朝廷から故郷の蝦夷を守る若き指導者・阿弖流為役。けいこの段階から、こう声を弾ませてきた。星組では、トップ紅(くれない)ゆずるの新体制になり、前作は新星・星組の本拠地第1作「スカーレット・ピンパーネル」だった。新トップ紅を支える立場になり、一切笑わない悪役を演じた。

 「まず、笑っていいんだ! と。共感してくれる仲間がいて、思いを寄せてくれる女性がいて。それだけで新鮮」と言い、笑った。

 原則としてトップが主演する宝塚では経験を積み、序列が上がると、敵役に回ることが多い。礼もここ最近、主人公からの敵対役が多かっただけに「ザ・ヒーロー」の今回は、はじけるような演技を見せている。

 けいこ中には、自身が率いる蝦夷軍メンバーに「下級生にいたるまで、自分の役柄の履歴書を作ろう」と提案した。「年齢や出身地、役名がない人は名前も決めて」。蝦夷軍側のメンバーはほぼ後輩。リーダーシップは、今年で9年目に入った自身とも重なる。

 「今の自分も、支えてくれる下級生に何を残せるのかという思いがある。うまくリンクしていますね」

 新人時代から歌、ダンス、芝居の3拍子が高いレベルでそろっていた。各組にトップ候補がいる“花の95期”首席。黄金世代をけん引してきた1人だ。新人公演を卒業して2年。「その時々を必死に生きてきたら、今。他組を観劇するたびに同期がレベルアップしている。いい刺激」と言う。

 現状に甘んじることを知らない。最大の武器は、音域が広く言葉も明瞭で、感情を乗せて聴かせる歌唱力だが、その歌でも悩む。

 「優しくて聴き心地がいいと言ってもらうんですけど、多分、持ち前の優しさからね(笑い)。でも戦いの場面では、途切れぬ迫力の歌唱が必要なので」

 今回は、自身の中でリズムを鳴らせる「ハートビート(心拍)」を学んだ。

 「楽譜をもらったら、音をとる前にベースとドラムのビートを、と。拍子を理解してから、音と歌詞を入れると、自然に楽曲のリズムが心に入っている」

 体調管理の上では、毎日100回の腹筋を欠かさない。「殺陣もあるし、みんなで筋トレして、おいしい物を食べ、バッと動いて、ガッと汗かいて、パッと寝る」。青春ヒーローそのものといったスタイルで、センターに立っている。【村上久美子】

 ◆「阿弖流為(あてるい)-ATERUI-」(原作=高橋克彦氏『火怨 北の燿星アテルイ』、脚本・演出=大野拓史氏) 99年に講談社から刊行され、00年に吉川英治文学賞を受賞した高橋克彦氏の小説を舞台化。8世紀、大和朝廷が東北へ支配領域を拡大。蝦夷征伐に乗り出す中、故郷を守ろうと立ち上がった蝦夷の若きリーダー、阿弖流為(礼真琴)の活躍を描く。仲間と力を合わせ朝廷軍を打ち破っていくが、朝廷軍は切り札の坂上田村麻呂(瀬央ゆりあ)に征夷の命を下す。

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